マンション選びの重要ポイントとして「管理」があります。
日々の生活から、中長期を見据えた資産価値維持も、全てが“管理”がしっかりされているかによって変わってきてしまいます。
2018年度賃貸用マンションで、管理組合の理事を勤めた経験を元に「管理」について紹介したいと思います。
マンション管理組合の必要性
マンションは複数の人が一つの建物を共同で所有して生活するという形態です。
またマンションは共同生活の場であり、住まい方にも配慮が必要ですが、一戸建てにはない問題がどうしても発生してしまいます。
その問題の解決・対策を行う組織が、マンション管理組合です。
「分譲マンションが建てられると、マンション管理組合が組織されます。」といっても管理組合は住民が運営しているのが通常です。
マンションの管理運営をするわけですが、大変な手間と労力がかかるのが実状です。
組合員の意思統一、建物維持のための各種の計画とその見直し、予期せぬ事故の対応など、マンション管理組合の仕事は多岐にわたります。
その中には前例がなく対処方法が分からず放置されたままとなってしまうこともあります。またマンション管理には区分所有法や民法などの法律、財務・金融、建築・設備等幅広い専門知識が要求されます。
しかし、管理組合を実際に運営している住民は専門知識があるとは限りません。
その結果マンションの資産価値を下げることにもなりかねません。
マンションの管理は、マンションの資産価値の一部だといえるでしょう。マンションの資産価値は自分たちで守らなければなりません。
管理組合のサポーター【管理会社編】
マンションの管理組合は、住民によって運営されていますが、ほとんどの人が専門的なことには無知であり、実際にマンションのメンテナンスは、管理組合から委託される管理会社であることが多いです。
ですから、管理組合の役員を輪番制で住民が請け負うシステムがほとんどでしょう。
では、管理会社に委託し
- すべておまかせでよいのでしょうか?
- 委託料は適正か?
- 管理組合の財産管理は適切か?
- しっかりした管理業務をおこなわれているか?
など、管理会社をチェックすることはたくさんあります。
管理委託している管理会社が倒産する恐れのないように、信用不安はないかしっかりチェックしましょう。
マンション内で事故が起こった際の対応も重視しなければいけません。
管理会社とすぐに連絡がとれないと、それだけ復旧に時間がかかり、重大な事故に発展するおそれもあります。
やはり緊急時などにすぐに管理会社に連絡が取れる体制がほしいものです。またどのような管理業務をしているかということを、管理会社は管理組合へ報告する義務があります。
マンション管理適正化法では、事業年度終了後に管理者などへの報告が義務付けられています。
年度ごとだけでなく、きちんとした管理報告を細かくしてくれる管理会社は信頼がおけると言えるでしょう。
管理組合のサポーター【マンション管理士編】
マンションのメンテナンスは、管理組合から委託される管理会社であることが多いとお話しました。
しかし、場合によっては管理組合と管理会社は利害関係が正反対になることもあるので、多くの管理組合が困っていたという実状があったのです。
そこで、管理組合の立場に立ちながらも公平な目で判断しアドバイスする「マンション管理士」という資格が設立されました。
管理組合の理事長は法的にも責任が非常に大きいので、他に仕事を持っていても責任を果たせるように、マンション管理士試験に合格し登録している「マンション管理士」が、専門的な知識で助言、指導などを行っています。
「マンション管理士」の仕事は、具体的にはマンション管理組合の会合に立会ったり、出納関係のチェック、事業計画に沿った運営をするための助言です。
必要に応じて資料作成や、調査・報告もしてもらえます。
管理費滞納の問題がある管理組合には、法的手段で回収するための助言もしてくれ、大規模修繕時期には、進め方から見積りの取り方、業者の選定もお手伝いするといった形です。
しかし、すべての管理組合が自分たちの所有するマンションをきちんと管理できているわけではないのです。
一部の人が意見を出しても、それを理解しようとしない住民もいます。
また輪番制で管理組合の役員になっても、管理会社に任せきりで何もせず次の人に交代という姿勢の人も多くいます。
こういったずさんな管理を続け、問題を放置したままにしていると、後々大きな問題が起こりかねません。
そういったことを防ぐためにも、マンション管理には専門性が高い第三者的立場のアドバイザーが必要なのです。
マンションの資産価値を守るための管理
マンションの資産価値とはいったい何でしょう。
駅からの距離や部屋の間取り、デザインだけではありません。
マンションが適正に維持・管理されていること、修繕計画と修繕積立金が計画にそってきちんと管理されていること、子供からお年寄りまで幅広い年齢層でも生活しやすい設備や、コミュニティが形成されていること、こういったことから総合的に判断されるべきなのです。
マンションが建設され、管理組合が発足してからは、総会や理事会の履歴、大規模修繕の記録などを保管していかなくてはいけません。
輪番制で役員が交代していくうちに、散逸・滅失してしまうことも少なくないのが事実です。
しかし管理組合の履歴は、今後の管理・修繕計画を立てるうえで非常に重要なものです。
新築物件のうちは、まだまだ修繕なんてピンと来ないかもしれませんが、過去の会合履歴や修繕記録をきちんと整備して、修繕が発生したときにどんどんつけ足して履歴にしていく、そしてそれを今後の修繕計画に役立てることが、マンションの適正な管理につながります。
そのためにも各々の『管理組合』に対する意識は、高く持たなければならないものといえます。マンションの資産価値は、自分たちで守っていきましょう。