企業に求められる過重労働防止対策(社員の思い)

2015年12月25日に起こった株式会社電通社員の過労自殺を繰り返さないため、過重労働に対する社会の目が厳しくなり、長時間労働規制法案等の改定、労働基準監督署も「過重労働撲滅特別対策班(通称:かとく)」を新設するなど対応を取っている。

社員の意識調査(アンケート)

社員に対して「時間外勤務」「36協定」についてアンケートを実施。
多数の自由意見が出されるが、意見を集約・分析すると1つの要因が浮き彫りとなる。

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過重労働の要因は、『売上・利益の重視!!』

会社として「売上・利益」の維持・上昇が最重要となる結果。会社全体の業務量は維持されることとなる。
また、トラブル、クレームが発生すると、対策が取られることにより業務量は増える一方である。

1人当たりの業務量を減らすために人員を増員させる要望も出ているが、利益を維持させるには容易に受けられる要望でもない。
また、人員を増員させると言っても業務上誰でも良いと言うものでもなく、人材確保が困難となっている。

カンフル剤とはならないが数年後を見据え、新入社員の採用枠を増加させることは過重労働防止対策につながる。また、新入社員教育の環境を整備し「優秀な社員」を育成することで会社の売上・利益に寄与させることも可能である。過重労働が蔓延している職場環境では、優良な教育環境とは言えず優秀な社員育成は困難と考える。

管理を厳しくすると『見えないサービス残業』が増える!!

組織の時間外管理として「過重労働者」「36協定違反」「賃金の未払い」を行っているが、勤怠システムに「定時に打刻」することにより管理の目から外れる。結果「見えないサービス残業」を行うこととなる。
背景として「過重労働者」「36協定違反」「賃金の未払い」を行った社員に対する上司の言動・行動が当該社員のプレッシャーとなっていることが考えられる。

過重労働防止対策

インターネット上を見ると様々な過重労働防止対策が取れられているので、まとめてみました。

過重労働対策のための「見える化」

企業(=トップ・社長)から過重労働対策を明文化することで、社員に会社の取り組みを周知し時間外勤務の抑制に繋げる手法です。
社員自ら、どうすれば時間外勤務が抑制出来るのか考える様に仕向けます。ISO的な手法に似ています。

水曜日のノー残業デー(休日) 強制取得

「ノー残業デーを設定しても、業務量が減らなければ意味が無い取り組み!」と思っている方も多いと思います。私もその内の一人でした。
しかし、水曜日に早く帰宅することで、週の中間で若干疲れを癒し、以降の木曜・金曜の集中力をアップさせることで生産性を向上させることが出来る。
顧客が許せば水曜日を休日にすることで、「月~水:2勤1休」「木~日:3勤1休」と社員の体調が維持され集中力が維持されることとなり、結果作業スピードがあがり仕事を早く終わらせることが可能となる。

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時間外勤務の事前申請

時間外勤務をする際、時間外勤務になる前に管理者に承認を貰う手法です。

「ダラダラ残業」「付き合い残業」「無駄な残業」の排除になります。
しかし管理者として時間外勤務を承認する際、部下から申請のあった時間外勤務の内容を精査する必要がありますが、正直内容の精査なんてある程度のデータの裏付けがなければ出来ません。しっかりやるにはある程度の期間をおいて膨大なデータ取得する必要があります。

部下から「経理伝票50枚の入力をするので、100分残業します。」と言われたら…
1、部下の日中の業務量はどうだったのか。⇒本当に、時間外勤務する必要があったのか?
2、経理伝票入力の必要性。⇒次の日でも、間に合うのでは?
3、経理伝票50枚の入力時間。⇒1枚の入力に2分かかる換算は正しいのか?
等々・・・時間外勤務の申請内容を精査すると言っても、他にも数人部下が居たら管理者は、全て承認してしまうのではないでしょうか?それでは、意味が無いと思います。

会議時間・回数の制限

どの企業にも会議は存在すると思います、その会議の時間や回数を制限し業務量の削減をする狙いがあります。
主たる会議の時間や回数が制限されれば、それだけで業務量は削減されることとなります。
また、時間と回数が制限されると会議資料も圧縮することとなり、副次的に業務量を削減することが可能です。

フォロー体制の整備

他社の取り組みで紹介しますが「株式会社日本レーザー」の事例の様に、しっかりしたフォロー体制を整備することで業務量抑制を狙います。
しかし、程度にもよりますがフォロー体制を整備すれば人件費の増加は、否めないモノがあります。

制度改変

勤怠関連の制度を変更することで、時間外勤務を抑制する。
毎日早朝忙しく、夕方になると暇になる。・・・所定労働時間に照らし合わせれば、勤務時間前に出勤しているので時間外勤務となる社員も居るのではないだろうか?そう言う社員には、フレックス制度を採用すれば時間外勤務削減に繋がる。

最後に、過重労働防止対策関係のホームページには人員増員・利益減収等のことが掲載されておりませんでした。
反対に、労働基準違反関係ニュースへのコメントでは、
・仕事量維持して時間外削減ってどうやるの?
・違法なことしないと利益が上がらない構造。
・経費削減と言って人を減らすのが問題。
・休日勤務が当たり前だった頃の考えを持った人が役員の時点で無理。
なんってことが記載されていた。

また、「適正価格という名のもとに安さを追及してきたから」儲からないとのコメントもあり、安くした分を人件費で穴埋めしている構造が見受けられる。

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他社の取り組み

各社過重労働防止対策を行っており、インターネット・雑誌等に紹介されているモノをピックアップしてみた。

他社に学ぶ、過重労働防止対策

日々、過重労働対策の施策がどこかしらの企業で取られており、ニュース等で紹介されております。しかし内容は『見えないサービス残業』が発生している可能性があります。
過重労働防止対策に効果がありそうな取り組みを紹介して行きたいと思います。

私個人的として、インターネットにあふれている過重労働対策「時間外勤務の事前申請」「事務所の消灯」等に関して、「ダラダラ残業」「付き合い残業」「無駄な残業」等の防止になるだけで実際抜本的な解決になっていないと思っております。
手先の対策で時間外が30%も削減出来たと言っている企業は、今までどれだけ緩いコスト管理を行っていたのか!その企業の社員の不真面目さ!正直考えるだけで驚かされます。

個人の過重労働防止の取り組み

私個人的な過重労働に対する取り組み・意見を、ここで少し紹介したいと思います。

もう十数年前の話であるが、入社後先輩に仕事を教わりながら10人規模の営業所事務員であった私。
入社1年後会社の合併に伴い、30人規模の営業所事務員となった・・・事務員は私1人である。

まだまだ右も左も分からない状態で、目の前の仕事を処理するだけで終わる毎日。
始業8時30分で帰社が22時なら「今日は、早く帰れた!」と思っていました。そして毎月支払等のピーク時は、翌4時頃まで仕事をしてバイクで家に帰り2,3時間の睡眠を取るのが2日続く状態。
毎月残業160時間はやっていたと思います。

残業160時間/月の私が、残業を限りなく0に出来た理由
1、個人の能力アップ(仕事の知識、技能向上)

入社2年目の社員の持てる知識・経験なんてタカが知れています。
分からないことは、教育係だった先輩社員、営業所の先輩社員、総務部・人事部・経理部の管理者に遠慮することなく色々と聞きました。
また、読んだことも無かった「社内規程」をしっかり読み直しもしました、仕事をする上での根拠を調べることも重要だと思います。
法律関係・一般知識については、インターネットで検索しました。全ての情報が正しいとは思いませんが、膨大な情報量があり調べられないことなんて無いと思います。
仕事に余裕が出て来てからは、各種資格の取得にも取り組みました。

当たり前ですが個人の能力がアップすれば、作業時間の短縮が図れます。

特にIT(パソコン関係)に関する知識・技能を向上させることは、重要と考えます。
そのパソコン技能の能力差によって、2倍、3倍・・・10倍の時間差が生まれることも多々あります。
・キーボードの入力能力差
・ソフト(エクセル・ワード)の作成能力差
パソコンの知識・技能は奥が深いです、良く知ることによりさらに便利になることでしょう。

経験ですが「同じ内容の稟議書」を作成する上で、私なら10分もかからず作成する稟議書を、2時間もかけて作成する人もいます。
稟議書作成の慣れ・バックボーン量・パソコン技能の差によりこれだけの作業時間差が生まれるのです。

企業はこの点に重点を置いて、ビジネスノウハウの社員教育を管理して実施するべきだと思います。
「やれ!やれ!」言っているだけでは社員は不勉強のままですよ!

2、次月の仕事につなげる段取り

仕事は、月単位のルーチンが多数でした。
そして仕事は、繋がっております。単月のみの作業とせず、次月に繋げる取り組みをすることで、作業時間の短縮が図れます。

まずは、自分なりの作業マニュアルを簡単でも良いので作成することです。

3、ITインフラ整備(富士ゼロックス:ドキュワークス導入)

ITインフラと言っていますが、要は「PCソフト」です。
私は、富士ゼロックスのドキュワークスと言うソフトを、パソコンに入れてから格段に仕事のスピードが上がったと思っております。
人それぞれ業務内容に則したITインフラを準備すると効率的に業務遂行が出来ます。

ドキュワークス(DocuWorks)とは・・・
文書管理ソフトです。仕事をしていれば書類が多く発生します、それをスキャナーで読み取り電子文書化しました。そうすることで、書類を棚に探しに行くことが無くなり、検索も検索キーを入力すれば一発で出てくることとなります。
スキャナーを取るのに時間がかかりますが、書類を探す時間を考えればスキャナー時間なんて微々たるモノです。

「ドキュワークス 実践使用例」と言うブログを作成しておりますので、もしよかったら閲覧下さい。

4、仕事を手伝ってもらう

先輩に分からないことを聞くことは出来ても、仕事をお願いするのは気が引けていました。
しかし、毎日の残業で心身が疲弊した時、「人の事を気にしていたら自分がヤラレる!」と思い先輩・上司にも積極的に仕事をお願いすることにしました。
そうすると、先輩も悪い顔せずに仕事を受けてくれ、結果残業を減らすこととなりました。

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